福祉用具専門相談員とは|仕事内容・資格の取り方(指定講習50時間)・給料と「きつい」理由を整理

福祉用具専門相談員とは、介護保険の福祉用具レンタル・販売事業所で、利用者に合った用具を選び使い方を支援する専門職です。資格は年齢・経験を問わず受けられる指定講習50時間(費用4〜6万円・期間およそ1週間)の修了で得られ、給料の目安は年収300〜450万円ほどです。

この記事でわかること

  • 福祉用具専門相談員がどんな仕事をする職種か(選定・計画書・納品・モニタリング)
  • 資格の取り方=指定講習50時間の費用・期間・受講方法とスクールの探し方
  • 介護福祉士・看護師など指定講習を受けなくても従事できる資格の範囲
  • 給料・年収の目安を公的データと求人情報の両方で確認
  • 「きつい・底辺」と言われる理由を営業ノルマ・搬入作業・訪問業務の3つに分けて整理
  • 介護職から転身する場合の夜勤の有無・腰痛リスクの違いと向き不向き

公的情報源: 厚生労働省「職業情報提供サイト(jobtag)」、および各都道府県が公表する福祉用具専門相談員指定講習の実施要領・受講案内をもとに整理しています。

結論を先に整理します

福祉用具専門相談員は、介護保険の福祉用具レンタル・販売を支える専門職です。車いすや介護ベッドなどを利用者に合わせて選び、使い方を説明し、その後の使用状況も確認します。

資格取得のハードルは高くありません。年齢や経験を問わず受けられる指定講習50時間を修了すれば、その日から名乗れます。介護福祉士や看護師など一部の有資格者は、この講習すら受けずに従事できます。

この記事の要点
  • 勤務先は指定福祉用具貸与・販売事業所。各事業所に2名以上の配置義務がある
  • 資格は指定講習50時間(費用4〜6万円・期間はおよそ1週間)の修了で取得できる
  • 介護福祉士・看護師・理学療法士などは指定講習を受けずに従事可能
  • 初任者研修・実務者研修の修了者は免除されず、指定講習が必要
  • 給料は年収300〜450万円が目安(求人・公的統計で幅がある)
  • 「きつい」の中身は営業要素・重量物の搬入・訪問とデスクワークの両立

この記事では、福祉用具専門相談員の仕事内容から資格の取り方、給料、そして「きつい」と言われる理由までを、公的データと求人情報をもとに整理します。費用や給料は地域・事業所で幅があるため、目安として示します。

目次

福祉用具専門相談員とは|介護保険の福祉用具を支える専門職

まず定義から確認します。福祉用具専門相談員とは、介護保険を使う人が自分に合った福祉用具を選べるように支援する専門職です。

勤務先は、都道府県の指定を受けた「指定福祉用具貸与・販売事業所」です。介護保険の福祉用具レンタルや購入は、この事業所を通して行われます。制度上、各事業所に2名以上の配置が義務づけられているため、需要が安定している職種でもあります。

福祉用具の「レンタル」と「販売」

福祉用具には、レンタルで借りられるものと、衛生面から購入するものの2種類があります。相談員はどちらも扱います。

  • レンタル対象:車いす、介護ベッド、手すり、歩行器、スロープなど(原則13品目前後)
  • 購入対象:入浴用の椅子やポータブルトイレなど、肌に触れる用具(特定福祉用具)

利用者の身体状況や自宅の環境に合わせて、この中から最適な組み合わせを提案するのが相談員の役割です。

どんな場所で働くか

活躍の場は福祉用具の専門店だけではありません。近年は業種の幅が広がっています。

  • 福祉用具のレンタル・販売事業所(専門店)
  • ドラッグストアやホームセンターの介護用品部門
  • 介護老人保健施設や病院の関連部門

多くはケアマネジャーや訪問看護と連携しながら、在宅で暮らす高齢者を支えます。

福祉用具専門相談員の仕事内容と1日の流れ

次に、実際の仕事内容です。「用具を貸すだけ」ではなく、選定から使用後の確認まで一連の流れを担当します。

ポイントは、福祉用具貸与計画書(サービス計画)の作成という専門業務がある点です。ここが単なる販売職と大きく違うところです。

主な5つの業務

日々の仕事は、大きく次の5つに分けられます。

  1. 相談・アセスメント(身体状況・住環境の確認)
  2. 福祉用具の選定と提案
  3. 福祉用具貸与計画書の作成
  4. 納品・設置と使い方の説明(適合確認)
  5. モニタリング訪問(使用状況の確認・調整)

このうちモニタリング訪問は、納品して終わりにしないための大切な業務です。少なくとも6か月に1回は利用者宅を訪ね、用具が安全に使えているかを確認します。2024年の介護報酬改定では、このモニタリングの実施時期がより明確に位置づけられました。

デスクワークと外回りの両方がある

相談員の1日は、事務所での書類作成と、外での訪問・納品が組み合わさります。

  • 午前:計画書の作成、ケアマネからの依頼対応、見積もり
  • 午後:利用者宅への納品・設置、使い方の説明、モニタリング訪問

このように外回りとデスクワークの両方をこなす点が、この仕事の特徴です。体を動かす場面もあれば、腰を据えて書類を整える場面もあります。

福祉用具専門相談員の資格の取り方|指定講習50時間

福祉用具専門相談員の取得手順を申込から就業まで5ステップで示した図。指定講習50時間の修了が要件で費用4〜6万円・期間約1週間が目安
図:福祉用具専門相談員は指定講習50時間の修了で取得でき、費用は4〜6万円・期間は約1週間が目安

ここが本題の一つ、資格の取り方です。福祉用具専門相談員として働くには、都道府県知事が指定する「福祉用具専門相談員指定講習」50時間の修了が必要です。

この講習には、年齢・学歴・実務経験などの受講条件がありません。誰でも申し込めるため、未経験から介護の入口として選ぶ人もいます。

指定講習50時間の中身

50時間のカリキュラムは、制度の理解から実技までを一通り学ぶ構成です。修了時には「修了評価(筆記のまとめ)」があります。

指定講習50時間の主な内容

分野主な学習内容
福祉用具と関連制度介護保険制度・福祉用具の役割
高齢者・障害の理解からだの仕組み・疾患の基礎
福祉用具の活用品目別の特徴・選び方
相談・供給の実務計画書の作成・記録・実技演習

費用・期間・受講方法の目安

気になる費用と期間の目安をまとめます。実施する研修機関によって差があるため、レンジで示します。

  • 費用:おおむね4〜6万円(例:東京都福祉保健財団 33,000円、介護労働安定センターの一部会場 約44,000円など)
  • 期間:50時間を8日前後で受講。連続日程なら短ければ約1週間で修了
  • 受講方法:スクールや財団などが開講。オンライン受講に対応する機関も増えている

費用は、初任者研修(130時間)より安く、期間も短めです。介護資格の入口としては、手が届きやすい部類に入ります。介護資格全体の費用感やスクールの探し方は、介護資格のおすすめスクール比較の記事もあわせてご覧ください。

指定講習を受けなくても従事できる資格

福祉用具専門相談員になる2ルートを示した分類ツリー。指定講習50時間ルートと介護福祉士や看護師など受講不要の有資格者ルートに分かれ、初任者研修修了者は免除されない
図:福祉用具専門相談員には指定講習50時間ルートと受講不要の有資格者ルートがあり、初任者研修修了者は免除対象外

見落とされがちですが、一定の国家資格を持つ人は、指定講習を受けずに福祉用具専門相談員として従事できます。すでに専門知識を学んでいるとみなされるためです。

  1. 介護福祉士・社会福祉士
  2. 看護師・准看護師・保健師
  3. 理学療法士・作業療法士
  4. 義肢装具士

一方で注意したいのが、介護職員初任者研修・実務者研修の修了者は、この免除の対象に含まれない点です。初任者研修を持っていても、福祉用具専門相談員として働くには指定講習50時間を別に受ける必要があります。ヘルパー資格ごとの位置づけは、ヘルパー資格の種類と取得方法の記事で整理しています。

福祉用具専門相談員の給料・年収の目安

続いて給料です。結論から言えば、年収300〜450万円あたりが一つの目安になります。ただし調べる情報源によって数字に幅があるため、両方の見方を押さえておきます。

公的データと求人情報で見る年収

まず、統計と求人の代表的な数字を並べます。時点をそろえて比べるのがポイントです。

福祉用具専門相談員の給料の目安(情報源別)

情報源給料・年収の目安時点
厚生労働省 職業情報提供サイト(jobtag)全国平均 約394万円令和6年
大手介護求人(マイナビ介護職)月17.6〜33.5万円/年収300〜450万円令和6年8月
ハローワーク求人月給 約23〜24万円求人平均

このように、統計ベースでは約390万円台、求人ベースでは300〜450万円と、幅を持って捉えるのが実態に近いといえます。賞与2〜3か月分を出す事業所も多く、基本給に加えて年収を押し上げます。

介護職全体と比べてどうか

福祉用具専門相談員の給料は、介護職全体の平均と比べて大きく離れてはいません。夜勤手当がつかない分、夜勤のある施設介護職より月収が抑えめになる傾向はあります。

介護職の給与相場そのものは、介護職の給与・年収の平均の記事で施設タイプ別・経験年数別に整理しているので、比較の材料にしてみてください。

「きつい・底辺」と言われる3つの理由

検索でよく見かける「きつい」「底辺」という声。ここは正面から中身を分解します。漠然とした不安のままにせず、営業・搬入・訪問業務の3つに切り分けると、自分に当てはまるかが判断しやすくなります。

  1. 営業ノルマ(新規契約・訪問件数の目標)
  2. 搬入・引き上げの身体作業(重量物の運搬)
  3. 訪問とデスクワークの両立(業務範囲の広さ)

理由1:営業ノルマがある職場がある

福祉用具のレンタル・販売は、事業所にとってはビジネスでもあります。そのため職場によっては、新規契約の件数や訪問回数の目標が設定されます。

数字を追うプレッシャーが苦手な人にとっては、ここが負担になります。ただし、営業色の強さは事業所によって大きく異なります。ケアマネからの紹介が中心で、ノルマを重く課さない職場もあります。

理由2:福祉用具の搬入は体力を使う

見落とされがちなのが身体的な負担です。福祉用具には重量のあるものが少なくありません。

  • 車いす:おおよそ10〜20kg(電動タイプはさらに重い)
  • 介護ベッド:分解しても部材が重く、設置・撤去は力仕事

こうした用具の搬入・設置・引き上げを担うため、腰や体力への負担はゼロではありません。運転して各家庭を回るため、車の乗り降りや階段の上り下りも重なります。

理由3:訪問と事務の両方をこなす

前述の通り、相談員は外回りとデスクワークの両方を担当します。訪問の合間に計画書や記録を作り、モニタリングの予定も管理します。

覚える知識も幅広いのが実情です。福祉用具の品目、疾患や身体の基礎、介護保険制度の仕組みまで、扱う範囲は広めです。ここを「大変」と感じるか「やりがい」と感じるかは、人によって分かれます。

「底辺」という言葉が使われる背景には、給料が飛び抜けて高くはない点や、介護業界全体のイメージがあります。ただし実際は専門職であり、需要も安定しています。言葉のインパクトだけで判断しないことが大切です。

介護職から福祉用具専門相談員への転身は向いている?

福祉用具専門相談員と施設の直接介護職を夜勤・休日・身体負荷・対外業務・給料で比較した図。相談員は夜勤なし日勤中心で負荷の性質が異なる
図:福祉用具専門相談員は夜勤がなく日勤中心。身体負荷は反復介助から用具搬入へと性質が変わる

最後に、いま介護職として働いている人が転身する場合の視点です。ここは資格案内が中心の他の解説では手薄になりがちなので、働き方の違いから整理します。

いちばん大きい違いは、夜勤がなく、日勤中心で土日祝休みの求人が多い点です。生活リズムを整えたい人にとって、これは大きなメリットになります。

直接介護との働き方の違い

施設での直接介護と、福祉用具専門相談員の働き方を並べて比べます。

福祉用具専門相談員と施設介護職の働き方比較

比較項目福祉用具専門相談員施設の直接介護職
夜勤原則なし(日勤中心)交代制であり
休日土日祝・週休2日の求人が多いシフト制
主な身体負荷用具の搬入・設置(スポット的)移乗・入浴・排泄介助(反復・日常的)
対外業務提案・ケアマネ連携あり比較的少ない
給料の目安年収300〜450万円施設・夜勤回数で幅

身体の負担は「なくなる」わけではなく、性質が変わると捉えるのが正確です。日常的な移乗・入浴介助の反復から、用具搬入という一時的な力仕事へ。腰痛の出方や疲れ方が変わるため、直接介護がつらかった人には合う場合があります。

向いている人・向いていない人

働き方の違いを踏まえると、向き不向きは次のように整理できます。

  • 夜勤を避けて日勤中心で働きたい人:生活リズムを安定させやすい
  • 直接介護の反復動作で腰を痛めた人:負担の性質が変わり続けやすい
  • 人に提案・説明するのが好きな人:選定や使い方説明が中心業務
  • 介護の知識を別の形で活かしたい人:現場経験が選定に生きる

  • 営業・数字の目標が強い苦手な人:職場によってはノルマがある
  • 車の運転をしたくない人:訪問・納品で運転が前提になりやすい
  • 重量物の運搬が体力的に難しい人:搬入・設置は残る

介護現場で培った身体介助や声かけの知識は、用具の適合を判断するうえで強みになります。転身は「介護をやめる」ことではなく、培った知識を別の入口から活かす選択肢の一つです。

福祉用具専門相談員についてよくある質問

受講前・転職前に相談を受けやすい質問をまとめます。

Q1:福祉用具専門相談員の資格を取るには何が必要ですか?

指定講習50時間の修了が必要です。年齢や実務経験などの受講条件はなく、誰でも申し込めます。費用はおおむね4〜6万円、期間は8日前後で、連続日程なら短ければ約1週間で修了できます。介護福祉士や看護師などの一部の有資格者は、この講習を受けずに従事できます。

Q2:初任者研修を持っていれば指定講習は免除されますか?

いいえ。初任者研修・実務者研修の修了者は免除の対象に含まれません。福祉用具専門相談員として働くには、指定講習50時間を別に受ける必要があります。免除されるのは介護福祉士・看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士などの資格保持者です。

Q3:福祉用具専門相談員の給料はいくらくらいですか?

年収の目安は300〜450万円です。厚生労働省の職業情報提供サイトでは全国平均が約394万円(令和6年)、大手介護求人では月17.6〜33.5万円と示されています。賞与2〜3か月分を出す事業所も多い一方、夜勤手当がつかないため、夜勤のある施設介護職より月収は抑えめになる傾向があります。

Q4:「きつい」「底辺」と言われるのはなぜですか?

主な理由は3つです。職場によっては営業ノルマがあること、車いすや介護ベッドなど重量物の搬入・設置で体力を使うこと、そして訪問とデスクワークの両方をこなし覚える知識が幅広いことです。ただし営業色や負担の大きさは事業所で差があり、需要の安定した専門職である点は変わりません。

Q5:介護職からの転職に向いていますか?

夜勤を避けたい人や、直接介護の反復動作で腰を痛めた人には向いている場合があります。夜勤がなく日勤中心・土日祝休みの求人が多いのが特徴です。ただし用具の搬入という力仕事は残り、運転や提案業務も伴います。現場で培った介助の知識は用具の適合判断に生きるため、経験を活かせる転身先の一つといえます。

Q6:未経験・無資格からでも目指せますか?

はい。指定講習50時間には受講条件がないため、未経験・無資格からでも目指せます。介護の入口として選ぶ人もいます。まず福祉用具の分野から入り、働きながら初任者研修や実務者研修へ進んでキャリアを広げる、という進み方も可能です。

まとめ:資格は取りやすく、働き方の相性を見極める

福祉用具専門相談員のポイントを、最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 福祉用具専門相談員は介護保険の福祉用具レンタル・販売を支える専門職
  • 資格は指定講習50時間(費用4〜6万円・期間およそ1週間)の修了で取得できる
  • 介護福祉士・看護師などは受講不要だが、初任者研修・実務者研修の修了者は指定講習が必要
  • 給料は年収300〜450万円が目安。夜勤手当がない分、月収は抑えめになりやすい
  • 「きつい」の中身は営業・搬入・訪問とデスクワークの両立で、職場差が大きい
  • 介護職からの転身は夜勤なし・日勤中心が魅力。搬入や運転の負担との相性で判断する

福祉用具専門相談員は、資格取得のハードルが低く、介護の知識を別の形で活かせる職種です。まずは仕事内容と働き方の相性を確かめ、進むと決めたら指定講習の受講先を探していきましょう。

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免責事項

※本記事は福祉用具専門相談員の資格・仕事に関する公開情報をもとにした整理です。指定講習の費用・日程・受講方法、給料の水準、免除対象資格、制度の運用は、都道府県・研修機関・事業所や制度改正によって異なる場合があります。受講や転職を検討する際は、必ずお住まいの都道府県や各研修機関、勤務先が案内する最新の公式情報をご確認のうえご判断ください。

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この記事を書いた人

Suzukiです。短大を出てすぐ介護の世界に入り、気がつけば20年以上が経ちました。特別養護老人ホームやグループホーム、デイサービスと、いろいろな現場で働いてきました。今は現場と並行して、介護スクールの事務も手伝っています。

スクールの窓口には、これから介護を始めたい方が毎日のように相談に来ます。「私みたいに初めてでも大丈夫でしょうか」と不安そうに聞かれるたび、飛び込んだばかりの頃の自分を思い出します。

このサイトでは、初任者研修の選び方やスクールの決め方、修了後の就職まで、現場で働いてきた経験と、受講生の相談にふれてきたことを合わせて、できるだけ正直にお伝えします。

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