介護福祉士国家試験の合格率・難易度・合格点|過去10年の推移と落ちる人の特徴を整理

介護福祉士国家試験の合格率は、近年おおむね70〜84%で推移し、第37回(2025年)は78.3%でした。合格点は総得点125点の60%程度を基準に毎回の難易度で補正され、加えて11科目群すべてで得点することが必要です。落ちる主な原因は、総得点の不足と科目群の0点失格の2つです。

この記事でわかること

  • 介護福祉士国家試験の合格率の過去10年推移(近年は上昇傾向・第37回は78.3%)
  • 合格点の仕組み=総得点125点の60%程度+難易度で補正という基準の読み方
  • 合格点×合格率の過去10年対応表と、合格点が上がる年・下がる年の共通点
  • 11科目群すべてで得点が必要(1つでも0点だと総得点が足りても不合格)というルール
  • 第38回(2026年)から始まったパート合格制度の概要
  • 難易度の実像と、落ちる人の3つの特徴・現実的な対策の方向性

公的情報源: 公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験」合格発表資料(参照)/厚生労働省 社会福祉士・介護福祉士関連情報。合格率・合格点は各回の公表値に基づき、最新は公式発表でご確認ください。

結論を先に整理します

介護福祉士国家試験は、合格率が近年おおむね70〜84%で推移する、比較的合格しやすい国家試験です。第37回(2025年・社会福祉振興・試験センター公表値)の合格率は78.3%でした。

ただし「受かりやすい」と油断すると足をすくわれます。合格には2つの条件があり、総得点で基準点を超えることに加えて、11の科目群すべてで1点以上を取ることが必要だからです。1科目群でも0点があると、総得点が高くても不合格になります。

この記事の要点
  • 合格率は近年70〜84%台。国家試験としては合格率が高い部類
  • 合格点は総得点125点の60%程度(およそ75点前後)を基準に、その回の難易度で補正される
  • 合格点そのものが低い年は「やさしかった」のではなく難しかったから基準を下げた
  • 総得点を満たしても11科目群のどれか1つが0点なら不合格(失格ルール)
  • 落ちる主因は①総得点不足 ②科目群の0点 ③受験資格・手続きの不備の3類型

この記事は、合格率・合格点の推移という「数字」を、公表値をもとに正確に読み解くことを目的にしています。合格点は毎回変わるため、確定した数値の断定は避け、傾向と仕組みで整理します。なお、これは介護職員初任者研修の修了試験とは別の、介護福祉士の国家試験の話です。初任者研修の試験の難易度は初任者研修の試験の難易度と合格率の記事で整理しています。

目次

介護福祉士国家試験の合格率は過去10年で上昇傾向

介護福祉士国家試験の合格率は、過去10年でおおむね上昇し、近年は70〜84%台で推移しています。国家資格のなかでは合格率が高く、正しく準備すれば十分に狙える試験です。

まず、直近10回分(第29回〜第38回)の合格率を見てみましょう。

介護福祉士国家試験 合格率の推移(第29回〜第38回)

回(実施年)合格率受験者数の傾向
第29回(2017年)72.1%
第30回(2018年)70.8%
第31回(2019年)73.7%
第32回(2020年)69.9%
第33回(2021年)71.0%
第34回(2022年)72.3%
第35回(2023年)84.3%これまでで高い水準
第36回(2024年)82.8%高水準を維持
第37回(2025年)78.3%受験者 約7.5万人
第38回(2026年)70.1%受験者 約7.8万人

出典は各回の社会福祉振興・試験センター公表値です。第35回(2023年)の84.3%を境に、近年は70%台後半〜80%台という高い合格率が続いています。

かつて(第27回・2015年ごろ)の合格率は60%前後でしたが、実務者研修の修了が受験要件に組み込まれるなど制度が整備され、受験者の準備水準が上がったことも背景にあります。第38回(2026年)は70.1%とやや低下しましたが、それでも10人中7人が合格する計算です。

「難関」というより、落ちる2割前後に入らないための試験という理解が現実的です。では、その「落ちる2割」を分けるのが合格点と失格ルールです。

合格点は「総得点の60%程度+難易度補正」で毎年変わる

介護福祉士国家試験の合格点は、固定ではありません。試験センターは合格基準を「問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度によって補正した点数以上」と定めています。

つまり、満点125点(125問・各1点)に対して、60%程度=およそ75点前後が基準ライン。そのうえで、その回の問題が難しければ基準が引き下げられ、やさしければ引き上げられます。ここが「毎年合格点が変わる」理由です。

合格点×合格率の対応表(第29回〜第38回・125点満点)

回(実施年)合格点総得点に対する割合合格率
第29回(2017年)75点約60%72.1%
第30回(2018年)77点約62%70.8%
第31回(2019年)72点約58%73.7%
第32回(2020年)77点約62%69.9%
第33回(2021年)77点約62%71.0%
第34回(2022年)78点約62%72.3%
第35回(2023年)75点約60%84.3%
第36回(2024年)67点約54%82.8%
第37回(2025年)70点約56%78.3%
第38回(2026年)64点約51%70.1%

合格点は各回の公表値によりますが、資料によって細部が異なる場合があります。この表は満点125点を前提とした目安で、最新・正確な数値は試験センターの公式発表でご確認ください。

この表から読み取れるのは、合格点は毎回50〜62%程度の幅で動いているという事実です。「合格点=75点」と暗記しても、その回の難易度次第で60点台まで下がる年もあります。

だからこそ、対策の目標は「合格点ちょうど」ではなく、どの回でも確実に超えられる余裕(7割前後)を積むことになります。介護福祉士に到達するまでの資格の積み上げ順序は、初任者研修と実務者研修の違いの記事で整理しています。

合格点が上がる年・下がる年の共通点

合格点が高い年は問題がやさしく、低い年は問題が難しく難易度補正で基準が引き下げられたことを示す比較図
図:合格点の低下は『やさしい』ではなく『難しかった』サイン

対応表を見て「合格点が下がった年=簡単だった年」と読むのは、よくある誤解です。実際は逆に近く、ここが数字を読むうえでとりわけ大切なポイントです。

合格点が下がった年は「問題が難しかった年」

合格基準は「難易度で補正した点数」です。問題が難しく受験者全体の得点が伸びなかった回は、基準点が引き下げられます。つまり合格点が64点や67点まで下がった回(第36回・第38回など)は、「やさしかった」のではなく難しかったから基準を下げた回、という読み方が正しいのです。

  • 合格点が高い年(77〜78点):問題が比較的やさしく、得点が伸びやすかった
  • 合格点が低い年(64〜67点):問題が難しく、全体の得点が伸びなかったため基準を引き下げた

合格率が高くても合格点が低い年がある

第35回(合格率84.3%・合格点75点)と第36回(合格率82.8%・合格点67点)を比べると、合格率はほぼ同じでも合格点は8点違います。これは補正が「合格率をある程度安定させる方向」に働くためで、合格点そのものと合格率は、いつも連動するとは限らないのです。

数字を読むときの結論
  • 合格点の低下は「試験がやさしくなった」サインではなく、その回が難しかったサイン
  • だから「去年は64点だったから今年も低いはず」という予想はあてにできない
  • 目標は合格点ぎりぎりではなく、難化しても超えられる7割前後を確保すること

総得点が足りても「科目群の0点」で不合格になる

介護福祉士国家試験の合格は総得点が基準点以上かつ11科目群すべてで得点があることの両方を満たす必要があることを示す判定フロー図
図:合格は総得点の基準クリアと全11科目群の得点、両方の達成が必要

介護福祉士国家試験で見落とされやすいのが、総得点とは別の条件です。合格には、総得点で基準点を超えることに加えて、11の科目群すべてで1点以上を取ることが必要です。

1つの科目群でも0点があると、たとえ総得点が90点あっても不合格になります。これが「失格ルール」と呼ばれる仕組みです。

得点が必要な11科目群(区分の例)

区分科目群の例
人間と社会人間の尊厳と自立・介護の基本/人間関係とコミュニケーション/社会の理解
こころとからだこころとからだのしくみ/発達と老化の理解/認知症の理解/障害の理解
介護生活支援技術/介護過程
医療的ケア・総合医療的ケア/総合問題

科目群の区分や名称は制度改正で変わることがあるため、詳細は受験する回の試験要綱で確認してください。重要なのは「得意分野で稼いで苦手分野を捨てる」戦略が通用しないという点です。

たとえば「医療的ケア」や「総合問題」のように出題数が少ない科目群は、油断すると0点になりやすく、失点が命取りになります。全分野をまんべんなく底上げすることが、失格を避ける近道です。

第38回から始まった「パート合格制度」

第38回(2026年)から、介護福祉士国家試験にパート合格制度が導入されました。これは近年でとりわけ大きな制度変更で、再チャレンジのハードルを下げるものです。

仕組みを整理すると、試験がいくつかのパートに分けられ、総得点で不合格でも、基準を満たしたパートは翌々年の試験まで再受験が免除されるという内容です。一度で全体に届かなくても、次回は残りのパートに集中できる形になります。

パート合格制度のポイント
  • 第38回(2026年)から導入された新しい仕組み
  • 基準を満たしたパートは翌々年まで再受験が免除される見込み
  • 働きながら受験する人にとって、不合格でも積み上げが無駄になりにくい
  • 制度の細部・対象範囲は試験センターの公式案内で確認する

新制度のため運用の詳細は今後の公表で確定していきます。ただ方向性としては、一発合格でなくても段階的に合格を積める仕組みで、社会人受験者にとって追い風といえます。

介護福祉士国家試験の難易度の実像

合格率だけを見ると「7〜8割が受かる、やさしい試験」に見えます。ただし、難易度は合格率だけでは測れません。介護福祉士国家試験の実像を、3つの角度から見ておきましょう。

受験のハードル自体が高い

介護福祉士国家試験は、誰でも受けられる試験ではありません。実務経験ルートなら「実務経験3年(従事日数540日)+実務者研修の修了」などの受験資格が必要です。つまり受験者はすでに現場経験と一定の学習を積んだ人に限られるため、合格率が高めに出やすい構造があります。

「7割受かる」という数字は、この土台をくぐった人のなかでの7割だと理解しておくべきです。受験資格や実務経験の数え方は、別途、受験資格の解説を確認してください。

出題範囲が広い

介護福祉士は、介護技術だけでなく、医療的ケア・認知症・障害・社会保障制度・コミュニケーションまで幅広く問われます。前述の通り全科目群で得点が必要なため、「広く浅く、でも穴を作らない」学習が求められます。

現場経験だけでは足りない領域がある

長く現場で働いていても、制度や医療的ケアの理論部分は、意識して学ばないと得点に結びつきません。実務の勘と試験の得点は別物です。ここを軽視して「現場歴が長いから大丈夫」と過信すると、思わぬ失点につながります。

介護福祉士国家試験に落ちる人の特徴

介護福祉士国家試験に落ちる人を総得点不足・科目群の0点・受験資格や手続きの不備の3類型に分けた分類図
図:落ちる人は総得点不足・科目群0点・受験資格不備のいずれか

最後に、不合格になりやすいパターンを整理します。落ちる人の多くは、次の3類型のどれかに当てはまります。裏を返せば、この3つを避ければ合格はぐっと近づきます。

落ちる人の3類型

類型何が起きているか対策の方向
①総得点不足全体の準備量が足りず、基準点に届かない7割前後を狙う。過去問で到達度を測る
②科目群の0点苦手分野を捨て、失格ルールに抵触全科目群を底上げ。捨て科目を作らない
③受験資格・手続きの不備実務者研修の未修了・書類不備で受験できない/要件不足早めに要件を確認し、証明書を準備

①総得点が足りない人

もっとも多いのが単純な準備不足です。合格点が下がる年もありますが、それは「難しかった年」なので、基準ぎりぎりを狙う人ほど難化に弱いという構図になります。目標は合格点ではなく7割前後です。

②苦手分野を捨てる人

出題数の少ない科目群を「捨て科目」にして0点を取ると、総得点に関係なく不合格です。得点戦略でとりわけ危険なのが「捨てる」判断。全分野をまんべんなく仕上げるのが、結果的にいちばんの近道です。

③受験資格・手続きでつまずく人

そもそも実務者研修が未修了だったり、実務経験の日数が足りなかったりして、受験自体ができないケースもあります。試験対策の前に、受験資格と提出書類を早めに固めることが土台になります。実務者研修をどこで受けるかは、実務者研修はどこがいいかの記事で費用や免除時間から比較しています。

介護福祉士国家試験の合格率・合格点でよくある質問

介護福祉士国家試験の合格率や合格点について、相談を受けやすい質問をまとめます。

Q1:介護福祉士国家試験の合格点は何点ですか?

合格点は毎回変わります。基準は「総得点125点の60%程度(およそ75点前後)」ですが、その回の難易度で補正され、近年は64〜78点の幅で推移しています。「何点取れば合格」という固定値はないため、難化しても超えられる7割前後を目標にするのが安全です。最新の合格点は試験センターの公式発表で確認してください。

Q2:合格率が高いのに難しいと言われるのはなぜですか?

合格率が7〜8割と高いのは、受験資格をすでに満たした人(実務経験・実務者研修修了など)のなかでの割合だからです。受験の土台に到達していること自体がハードルになっており、さらに出題範囲が広く全科目群で得点が必要です。「準備した人が受かる」試験で、無準備で受かる試験ではありません。

Q3:総得点が合格点を超えていれば合格になりますか?

いいえ。総得点で基準を超えていても、11の科目群のうち1つでも0点があると不合格です。これが失格ルールで、苦手分野をまるごと捨てるのは危険です。総得点と全科目群での得点、両方を満たして初めて合格になります。

Q4:合格点が下がった年は簡単だったということですか?

逆に近いです。合格点は「難易度で補正した点数」なので、合格点が下がった年は問題が難しかった年と読むのが正確です。全体の得点が伸びなかったために基準を引き下げた結果です。合格点そのものが低い=やさしい、という理解は誤解のもとになります。

Q5:パート合格制度とは何ですか?

第38回(2026年)から導入された制度で、基準を満たしたパートは翌々年の試験まで再受験が免除される仕組みです。総得点で不合格でも、次回は残りのパートに集中できます。働きながら受験する人には積み上げが無駄になりにくい変更ですが、詳細は新制度のため試験センターの公式案内で確認してください。

Q6:働きながらでも合格できますか?

多くの合格者が働きながら準備しています。ポイントは、全科目群をまんべんなく底上げすることと、過去問で自分の到達度を早めに測ることです。実務経験があっても制度・医療的ケアの理論は意識して学ぶ必要があります。資格取得後のキャリアや給料の変化は、初任者研修取得後のキャリアと給料の記事も参考になります。

まとめ:合格率より「失格ルール」に注意して準備する

介護福祉士国家試験の合格率・難易度・合格点を、最後に整理します。

この記事のまとめ
  • 合格率は近年70〜84%台で推移。第37回(2025年)は78.3%と高水準
  • 合格点は総得点125点の60%程度+難易度補正で毎回変動(近年64〜78点)
  • 合格点が低い年は「やさしい年」ではなく難しかった年。基準ぎりぎり狙いは危険
  • 11科目群すべてで得点が必要。1つでも0点なら総得点が足りても不合格
  • 第38回からパート合格制度が導入され、段階的な合格が可能に
  • 落ちる人は①総得点不足 ②科目群の0点 ③受験資格・手続きの不備のいずれか
  • 合格点・合格率は年度で変わるため、最新は試験センターの公式発表で確認

介護福祉士国家試験は、正しく準備すれば十分に狙える試験です。合格率の高さに油断せず、7割前後を目標に、捨て科目を作らずまんべんなく仕上げることが、いちばん確実な合格ルートになります。まずは受験資格と学習範囲を固めるところから、計画的に進めていきましょう。

あわせて読みたい


免責事項

※本記事は介護福祉士国家試験の公開情報をもとにした整理です。合格率・合格点・合格基準・受験資格・科目群の区分・パート合格制度の運用は、年度や実施回によって異なり、変更される場合があります。受験を検討する際は、公益財団法人 社会福祉振興・試験センターおよび厚生労働省が公表する最新の受験要綱・合格発表をご確認のうえご判断ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Suzukiです。短大を出てすぐ介護の世界に入り、気がつけば20年以上が経ちました。特別養護老人ホームやグループホーム、デイサービスと、いろいろな現場で働いてきました。今は現場と並行して、介護スクールの事務も手伝っています。

スクールの窓口には、これから介護を始めたい方が毎日のように相談に来ます。「私みたいに初めてでも大丈夫でしょうか」と不安そうに聞かれるたび、飛び込んだばかりの頃の自分を思い出します。

このサイトでは、初任者研修の選び方やスクールの決め方、修了後の就職まで、現場で働いてきた経験と、受講生の相談にふれてきたことを合わせて、できるだけ正直にお伝えします。

目次